獣医さんから「あなたのペット(犬猫)は腎臓病・心臓病です」と言われたら
獣医さんから「あなたのペット(犬猫)は腎臓病・心臓病です」と言われた時のご参考になるブログにしたいと思ってます.私は現役の獣医師で,特に心臓病と腎臓病を得意分野にしています.
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良い獣医さんの見つけ方(その2)
 いくら優秀な獣医師の診察を受けても,飼い主さんがいい加減では満足な診察は成立しない,ということを今回は強調したいと思います.

 私の父は,私が大学院生の時に食道癌で亡くなりました.

 当時の私は獣医学の,しかも内科の,更に心臓の勉強ばかりしてましたから,人間,しかも実父が食道癌になって,はじめて食道癌のことを真剣に調べ,勉強しました.なぜなら,父には少しでも長く生きて欲しい,生きるにしても少しでも苦しまずに生きて欲しいと思ったからです.
 自分の研究は「そっちのけ」状態で,とても苦手なドイツ語の論文まで読みました.
 大切に思う家族(今日日,これにはペットも含まれますね)が大病を得たら,やはり家族が本気にならないと,よい治療は受けられないし,亡くなった後も後悔が残るのではないでしょうか?

 無論,私は父の担当医を心の底から信じていました.しかし,全てを「医者任せ」にして良い場合と,悪い場合があると思うのです.少なくとも,命に重大な影響を及ぼす病気については,私は医者に全てを任せてしまうのは良くないことだと思います.飼い主さんにもその病気のことをよく知って頂ければ,生活面で改善できることが増えますし,そうすれば動物の病気にもプラスになります.それに,もっと言ってしまえば,飼い主さんにかしこくなって頂ければ,それで良い動物病院が見つかるチャンスが増えることにもつながると思うのです.

 ガンだけでなく,腎臓病も心臓病も非常に手強い相手です.
 担当の獣医師に任せているだけでは,勝てる訳がありません.

 ちょっと不謹慎な例で話を続けます.

 私は車に乗ってよく出かけます.埼玉県北部の田舎に住んでいるので,仕方ないことなのですが,私は車の運転があまり好きではありません.車にあまり興味がないからです.

 そんな私でも,車を購入する時は,
 燃費はどのくらい?
 女房も運転しやすいと思うか?
 どのぐらい乗れるか?
 ローンはどうする?
 保険は?
 子ども達がいずれ乗るようになったら…云々

 とかなり遠い先のことを考えて検討します.これは常識ですよね?

 ペットはどうでしょう?
 
 ペットショップで気に入ったから,可愛いと思ったから,子どもにせがまれたから…
 そんな軽い理由(失礼でしたらお詫びします)で,動物を飼い始め,その動物がやがて腎臓病・心臓病・がんと言った,人間で言う成人病を患った時には,「なんで動物病院の診察にはこんなに金がかかるんだ!!」と思う方がいらっしゃるかも知れません.

 ですが,我が国ではペットに医療保険はありませんし(最近はだいぶ民間企業によるペット保険が普及してきましたね),やはり心臓・腎臓という大切な臓器の病気を診察・治療するためには,どうしてもそれなりの費用はかかってしまいます.この点はぜひ皆様にご理解頂きたい大切な点です.

 私は「ペットを飼う時に,ペットが歳をとって重たい病気に罹った時に,それなりのお金がかかることを覚悟しろ」と言っているのではありません.

 「お金がかかることは仕方ない」と納得して,良い治療を受けて頂きたいのです.

 こう書くと,多くの方からいくつかのご意見・ご質問が出ることを私は承知しています.

 第一に,重たい病気に罹って,飼い主が治療費を負担できないのなら,辛いけど安楽死を選ぶというご意見です.

 冒頭で心臓病や腎臓病の診療に長けた獣医師のチェック・ポイントをお示ししましたが,ついでに「最悪の獣医(存在するとは思いたくないのですが)」のチェック・ポイントを一つお示ししましょう.

 それは,飼い主の要求に応じて,即座に安楽死を実施する獣医(あえて獣医師とは書きません.その理由はいずれ書きますね)です.

 治療費に制限があるのなら,動物病院でそう仰って下さい.
 具体的に,月々いくらまでしか支払えないと,仰って良いのです.

 第二に,「お金がかかるのは仕方ないが,できることならお金をかけずに病院で治療を受ける方法はないのか?」というご質問です.

 例えば,ここに2頭のイヌがいて,両方とも腎臓病に罹ってしまったとします.

 片方(仮に大和としましょう)は非常に軽い腎臓病です.
 腎臓病はひどくなると,尿毒症症状と言って頑固な下痢や嘔吐,食欲不振,貧血,体重低下などが見られるのですが,大和は病気が非常に軽いため,見た目には全く腎臓病に見えない段階だとします.
 食事療法とちょっとした薬を飲み,そして定期健診を受ければ,少なくとも2年は良い状態で(つまり,尿毒症症状に苦しまずに)生きられるハズだと担当の獣医師は太鼓判を押しています.

 一方,もう1頭(仮にモモとしましょう)は,重たい腎臓病です.
 尿毒症症状が続いていて,誰の目から見てもモモの状態は良くありません.
 獣医師は最善の治療を実施しても,延命は期待できず,尿毒症症状を少しでも緩和してあげることしかできないと言っています.また,獣医師はざっと見積もって「ももはあと,3ヶ月持つか持たないか」とも言っています.
 人間で言うと,血液透析や腎臓移植に踏み切らなければならないほどひどい状態だということです.

 さて,これから治療を開始して2頭が亡くなるまでの治療費を比べてみましょう.

 常識的には,治療期間が長い大和の方が高いと考えられますね.
 しかし,現実には,短期間と言えどもモモには何種類もの薬が必要で,更に色々な検査を何回もしなければならないので,一概に「大和の方が高い」とは言えないのです.

 動物では調査されていませんが,アメリカで興味深いデータが出ています.

 腎臓病は人間でも患者さんが多く,血液透析をしなければならないほどひどい腎臓病の方がどんどん増えているそうです.

 血液透析が必要なほどひどくなるまで治療を受けなかった患者が,「さぁ,これから死ぬまで血液透析を受ける」ということで,亡くなるまで透析を受けた場合(つまり,モモと同じパターンです),膨大な医療費がかかります.

 反対に,非常に軽い腎臓病の段階から治療を受けると(つまり,大和と同じですね),治療期間は長くなりますが,トータルで見ると医療費は安価になることが判っています.

 最後に,「良い治療が受けられる病院をどうやって見つけるんだ? 同じお金をかけるなら,よい治療を受けたい.だが,その病院をどうやって見るけるんだ?」という問題もありますね.

 前回は前もって,「良い獣医さんの見分け方を書く」というような予告をしながら,あまりハッキリしたことは書きませんでした.

 いや,正確に言うと書けなかったのです.

 その理由は,獣医師の診療範囲は非常に幅広く,様々な能力を要求されるからです.この幅広い能力をちょっとしたチェック・ポイントで見透かすことは不可能だと思うからです.ちょうど,良い人間と悪い人間を見分けるための,簡単なチェック・ポイントなど存在しないとの同じなのかもしれません.

 ですが,このブロクのメイン・テーマである,腎臓病や心臓病の診察に限定すれば,私はちょっとしたチェック・ポイントで良い獣医さんを見つけられると思います.

 まず,腎臓病の診療に長けた先生は;
 1.血液検査と同じかそれ以上に,尿を詳しく検査しようとします
 2.血液検査だけで慢性腎臓病とは診断しません
 3.食事療法の重要性を具体的に説明します
 4.食事以外の生活指導も,季節に応じて丁寧にします
 5.最低でも半年に1回ぐらいは血圧を測ります
 6.診察の都度にお腹を触り,皮膚をつまんだり,口の中や目をチェックします
 7.同じように,診察の都度に飼い主さんに「飲み水の量が増えていないか」,「おしっこの量や回数が増えてないか」を質問します

 それから,心臓病の診察に長けた先生は:
 1.診察の都度に,必ず動物に聴診器をあて,心臓と肺の音をキチンとチェックします
 2.同じく診察の都度に,後ろ足の内側(股の付け根の部分)を触ります
 3.カルテに心臓の雑音の様子や脈拍数を記入します
 4.食事療法の重要性を具体的に説明します(これは腎臓病と同じですね)
 5.食事以外の生活指導も,季節に応じて丁寧にします(これもそうですね)
 6.散歩の時間や仕方についてもアドバイスします
 7.むやみに利尿剤やステロイド剤を処方しません
 8.飲み水の量を制限する(つまり少なくする)よう飼い主さんに指示することは絶対にありません
 9.心臓病がひどくなって,利尿剤を服用せざるを得ない場合には,日頃から十分に水が飲めるよう飼い主さんを指導します

 腎臓病に関しては7つ,心臓病については9つのチェック・ポイントを示しました.
 もし,皆さんが心臓病または腎臓病のペットを飼ってらしていて,ホームドクターがこのポイントの全てに該当するのなら,それは相当優秀な獣医師であり,「どうぞ安心して小さな命を預けて下さい」と私は断言します.

 一つ付け加えますが,上記の点をチェックすれば,なぜ心臓病や腎臓病の診察に長けた獣医さんかどうか判るかは,またいずれゆっくりと説明することにします(そうでないと,話の収拾がつかなくなるので).

 総論的な話はこれくらいにして,次回から本格的に腎臓病の話に入りましょう.

 今までにコメントが一つもつかないので,ちょっと寂しくなってきました...
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コメント
この記事へのコメント
よろしくお願いします!!
2008/01/24(木) 11:51:50 | URL | #-[ 編集]
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2008/01/25(金) 22:55:22 | | #[ 編集]
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2008/01/26(土) 23:23:56 | | #[ 編集]
続きを楽しみにしています。
先生、いつも興味深く拝見しています。
獣医としても身が引き締まる思いです。
飼い主さんが一番疑問に感じたり、不安に思うことを的確に説明してくださっているので、少しでも多くのかたにこのブログを読んでいただきたいと思いました。
いろいろな人に紹介するつもりでおりますので、これからもどんどん更新をお願いします!
2008/01/29(火) 00:45:22 | URL | Roco #zOR9f5BU[ 編集]
また新たにブログをお始めになられることに
驚きも交えて拝見させていただきました。
ここでも勉強させていただきながら
獣医師として一人でも多くのオーナー、
犬猫に良い獣医さんと思って頂けるように
頑張ります。
2008/02/01(金) 00:33:22 | URL | ちっぷ #-[ 編集]
柴犬「もも」
我が家の雌の柴犬「もも」が重度の尿毒症となり現在毎日点滴・投薬・食事療法の状態です。病気の発見は、年1回のワクチン注射に行った際昨年よりかなり体重が減少していることが指摘され精密検査を受けた結果判明しました。飼い主の不注意もあったことは否めませんので、申し訳なく思って治療を続けています。
しかし、大変勝手なことですが、週に1.5万円ほどの出費は今後のことを考えると年金生活者としては、かなりの重圧となっています。ほんコーナーから獣医さんと相談する必要を感じ出来る範囲での治療をしていきたいと思います。
「もも」の息子も11歳ですが、こちらについては十分な注意をしていかねばと思っています。
だらだらと書きなぐり申し訳ありませんが、少しは気が晴れた感じがします。
2008/03/24(月) 02:09:26 | URL | Nishi #-[ 編集]
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2008/11/22(土) 18:47:40 | | #[ 編集]
良い獣医師
初めまして。
17歳になる腎臓の数値がすごく悪いMIX犬がおります。良い獣医さんの見つけ方、参考になります!!今の動物病院は、項目からみると、やはり良い動物病院ではありません。(やっぱり・・・)血液検査して、結果みて処方食とお薬というパターンです。他のアドバイス等何もありません。去年から別の病院に変えようかと他の病院2件行ってみましたが、待ち時間が2時間で、1回行くのに3時間掛るなどで、ギブアップしました。昨日、その人気の病院で診てもらおうと思い、『1月2月5月に血液検査をしてますが、その結果で診察してもらえるのですか?』とまず問い合わせたら、『血液検査をさせてもらうかもしれません』と言われ、見送りました。1週間前に血抜きしたばかりなのに、血抜きばかりになってしまい、かわいそうになって・・・(涙×涙)・・・今は点滴でもってるという感じでしょうか・・・食欲がない状態です。
2009/06/03(水) 04:21:40 | URL | JMママ #-[ 編集]
はじめまして。犬の腎臓病で検索していて、拝見させて頂きました。
11歳のシュナウザーです。ストルバイト結晶、椎間板ヘルニア、肝臓の数値が高くて、1日2回の薬と、10日前後に1度の通院、1ヶ月に1度くらいに血液検査をしていたのに、先日、「肝臓も悪いけれど腎臓の数値がものすごく高く、機能していない、長くないかも。」と言われました。今は毎日点滴と注射に通っています。うちの子も食欲がありません。大切な家族。私も少しでも長く生きて欲しい、そして辛い思いをせずに生きて欲しいです。
2009/06/03(水) 14:46:20 | URL | ひろ #-[ 編集]
はじめまして。本日うちのヨーキーが腎臓病と判明して、検索しこちらにたどり着きました。  実家の仔だったんですが、母が病気の為(可愛がっていた犬にあたったりしだしたので)この春に引き取りました。 3月で4歳になった仔ですが、フィラリアの検査時の血液検査で腎臓病疑いがでてきて、今日の尿検査で確実になりました。 
 正直凄くショックです。まだ4歳なので病気には縁がないと思っていただけに驚き、がっくりしました。 見ていただいた先生は、血液検査で異常がわかったときに、病気の怖さを語ってくださったのですが、
「この後の治療をどうするのかは飼い主さん次第です」の一言で費用面やらどうしたらいいのかなどは教えてくれませんでした。
『病気もその仔の運命だから無理に延命しなくても‥』と思ったりもしたのですが、やはり可哀想で今日病院で尿検査してきました。 
うちはまだ手のかかる子供が居る為、正直仔の治療費にあまり回すことは出来ないです。現在でもアレルギーとのうひ症で毎週のシャンプー(専用シャンプー購入。月一でペット病院にて薬浴&シャンプー)に投薬で結構出費があったりします。
(アレルギーで通院時に)ペット保険を紹介してくださったので助かってはいるのですが、それでも費用面でかなりしんどいです。
 仔の事を考えてくださってるとは思いますが、さーっと肝臓病について説明を下さった後に「で飼い主がするべきことはなんですか?」と聞かれ「水のチェックとおしっこの色、量の確認‥」と云いたかったんですが、もたもたしていて云えず 先生に「水を制限したらそれは虐待ですよ!」と云われました。 言葉が足りなかったのですが、「虐待ですよ」の一言がショックでした。
 前回の通院(のうひ症の投薬)時で
腎臓病告知→直らない病気→ほうって置くと早く死ぬ→でも治療は飼い主さんの心次第→こっちからは働きかけません→検査するならキットを渡す(するしないは貴方の意思)→貰って呆然と帰宅
 今回の通院は
尿検査→尿比重1.016→水を飲む量&おしっこの量が増えたのに気づかなかったか(叱責)→食事療法(療養食の案内)→今度に血液検査(費用は1000円程度で安いとのこと)→ハイお終い→おやつ等はやれるのか?の質問にそんなのダメなのは当たり前!との返事。どうしたらいいのか判らないのにと心中パニックに→皮膚のデキモノについて何も云われなかったので聞く「これ?のうひ症の親玉」の一言→取り合えず皮膚の投薬が終わったら再度来るように → 帰宅 
 でした。 長々と自分語りでしたが、非常に辛い一時でした。若い先生で熱意に溢れている分 飼い主に手厳しいのだとは思いますが。それともペットの管理が出来てない飼い主にはアレ位が当然なのでしょうか。家に帰って泣きました。
 『良い獣医さんの選び方』の項目に<飼い主の心情にも気を配ってくださる方>というのを是非いれていただきたいと思います。家族の病気の告知なんですから。

 4歳の若さで腎臓病になってしまったうちの仔はどれくらい生きられるのか。早すぎる発症は非常に辛いです。泣いていても始まらないので、とりあえず気を取り直して頑張ってみます。

 最後になってしまいましたが、先生の説明は判りやすく非常にありがたかったです。更新楽しみにしています。ありがとうございました。

2009/06/05(金) 00:32:21 | URL | さくらママ #u2lyCPR2[ 編集]
6/3にコメントしました。11歳シュナウザーです。昨日CT検査しました。片方は肥大していて、もう片方は収縮しているとのことです。しばらく毎日点滴と注射(3本)に通います。食欲がないので先日経腸栄養食カケシアを頂きました。インターネットで調べたら腎疾患用のキドナもあるんですね。なぜ腎疾患用キドナではなくカケシアなのでしょう、私は仕事で病院に付いて行くことが出来ないのですが、病院に連れて行く両親は先生に気を使って、聞けないようです、私が電話で質問することもして欲しくないようです。 ごめんなさい。 愛犬に苦しい思いをして欲しくありません。 さくらママさん、JMママさん、私たち家族のためにがんばりましょう。
2009/06/05(金) 15:25:39 | URL | ひろ #-[ 編集]
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2010/05/28(金) 06:52:03 | | #[ 編集]
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2010/09/20(月) 10:28:49 | | #[ 編集]
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2011/01/09(日) 09:44:54 | | #[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2012/05/20(日) 08:51:34 | | #[ 編集]
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