獣医さんから「あなたのペット(犬猫)は腎臓病・心臓病です」と言われたら
獣医さんから「あなたのペット(犬猫)は腎臓病・心臓病です」と言われた時のご参考になるブログにしたいと思ってます.私は現役の獣医師で,特に心臓病と腎臓病を得意分野にしています.
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
腎臓内に流れ込んだ血液はどうなる?
このブログの更新を随分とさぼってしまいました:今後は通勤電車の中で少しずつ書き進めようと思っているので(私の通勤時間は約1時間40分です),どうぞお付き合い下さい.

 まず,前回の内容をおさらいしておきましょう.要点は以下の通りです.

1.腎臓はお腹の中に2つある.
2.腎臓には大量の血液が流れ込んでいる:具体的には,心臓が送り出した血液の2割を腎臓が「独り占め」している.このことは,血液中の老廃物を効率よく濾し取る(濾過する)上で効率が良い.
3.しかし,腎臓は大量の血液が流れ込むことで血液を濾過するという宿命にあるため,血液内に毒素が入り込むと,腎臓はその毒素も大量に受取り,腎臓はたちまち異常状態(機能不全)に陥るリスクが高い.腎臓に毒性を示す物質を特に腎毒性物質と呼ぶが,これにはブドウやレーズンが含まれる(但し犬のみ).
4.更に,腎臓は心臓の状態や血液の量の影響をも受けやすい.心臓病にかかったり,血圧が下がったり,あるいは全身を循環する血液の量が少なくなると,腎臓の機能は低下しやすい.

 ブログでこのような真面目で硬い内容を扱うことに,違和感のある方も大勢いらっしゃると思います.が,今の私は自分の知識をブログ以外の方法で,愛犬家・愛猫家の皆様に発信する方法がありません.このような情報八進法に好き嫌いはあるかと思いますが,「全ては犬猫の腎臓のため」と思って諦めて(?)下さい.

 さて,話しを進めましょう.

 今回は心臓から届いた血液が腎臓の中をどう流れ,どのように尿が作られるかというお話を書きます.

 こう書くと「そんなこと,一般の飼い主には関係ないよ.プロである獣医さんに任せれば良いじゃない」という批判が聞こえてきそうです.

 これまでに,このブログでも何回か書いたように,腎臓病は強敵です.

 我々獣医師が本気になっただけでは,腎臓病との戦いには勝てません.飼い主さんの深いご理解と愛情が味方につかないと,勝ち目はありません.腎臓病に勝つためには我々獣医師だけでなく,飼い主さんにも賢くなって欲しいのです.

 「賢くなって欲しい」というと,まるで飼い主さんを馬鹿にしているようにも読めますが,私の真意はそのようなことでは決してなく,「尿がどのようにして作られるか」を知らないと,「なんでこんな薬を飲むの?」,「なんでこのような検査を受けなければいけないの?」と言った疑問が氷解しないのです.

 「下痢だから下痢止めのお薬を飲ませましょう」というのと,訳が違うのです:こう書いてはなんですが,プロの獣医師でさえ多くが「腎臓(と心臓)の病気は診断も治療も難しい」と感じているのです.

 まさに強敵ではありませんか!!!!!!!!!!!!!!!!!

 それから,これは獣医師として実は書きにくいことですが,皆さんが正しい知識を身につければ,「宝物(ペットのことです)の腎臓を守れる獣医師と守る資格のない獣医師」を見分けることも可能になるのです.

 だから勉強しましょう!!!!!!!!!!!!

 お話を元に戻しましょう(話しが脱線するのは,私の悪いクセであることを思い出していただけましたか?).

 お腹の中を通る太い動脈(腹大動脈と言います)から太い血管が枝分かれして腎臓に入り込みます.腹大動脈から腎臓に血液を送るこの太い血管を腎動脈と呼びます.

 ちなみに,動脈は心臓から血液を全身の臓器に送る血管の総称で,生きている動物の動脈はピクピクと動いているので日本語では「動脈」と言います.これに対して,全身の臓器から心臓に血液を戻すための血管を静脈と言いますが,これはピクピクと動きません.静かなので「静脈」と呼びます.昔の人はこの2つの血管に解りやすい名前を与たえと思いますが,皆さんはどう思いますか?

 もうちょっと脱線させて下さい:床屋さんの看板と言えば,赤と青と白の帯がくるくる回っている「アレ」を連想しますね.あの看板(アルヘイ棒と呼ぶらしいです),赤は動脈,青は静脈,白は包帯を示しているという説が有力ですね:http://www.riyo.or.jp/library/etc_rekisi_01_10.html
 実際に,動脈には酸素をたっぷり含んだ血液が,静脈は酸素に乏しい血液が流れています.ですから,動脈を流れる血液は本当に赤く見えますし,静脈を流れるそれは青っぽく見えます.ちなみに,昔は床屋さんが色々な病気の治療もしていたようです.

 話しを元に戻しましょう.

 腎臓の内部はどのような構造になっているのかを,猫の腎臓の写真で確認しましょう(この猫はある病気に罹り,飼い主さんのご了解を得て解剖させて頂いて撮影したものです.この腎臓の「持ち主」だったランちゃんのご冥福をお祈りします).
腎臓断面写真

 腎臓はよく「そら豆型」と言われます.確かに似てますね.

 その内部を見ると,外側がアメ色,そしてその内側は薄い黄色(またはクリーム色)になっていますね.

 このアメ色の部分を皮質(ひひつ),黄色の部分を髄質(ずいしつ)と呼びます:この「皮質」とか「髄質」という名称は,今後のこのブログの中で何回も出てきますので,頭の片隅に入れておいて下さい.

 パソコンで書いたイラストですが,皮質・髄質を今度は何百倍にも大きく拡大して見てみましょう.すると,以下のような構造が腎臓内にびっしりと詰まっています.

 ネフロン

 本によって数はまちまちですが,このような構造が犬猫の腎臓には数十万個あると言われています.

 血液の流れに沿ってこの構造を説明しましょう:これが今回の「本題」です.

 心臓から送り出された血液は腹大動脈と腎動脈を経て腎臓内に入ります.そして,腎臓内で何回も何回も枝分かれするうちにだんだんと細くなり,最後に輸入細動脈(ゆにゅうさいどうみゃく)という血管になります.

 この血管は顕微鏡で何百倍にも拡大しないと,見ることはできません.

 輸入細動脈はボーマン嚢(のう)という「袋」(医学用語ではたびたび「袋」のことを「嚢」と表記します.有名なのが肝臓にくっついている胆嚢(たんのう)という「袋」です)に入ると,更に無数に枝分かれして糸球体となります.

 こんがらがった糸が玉のようになっているので,糸球体と名付けられたのでしょうね.そして,糸球体を流れた血液は1本の輸出細動脈(ゆしゅつさいどうみゃく)となってボーマン嚢を去ります.糸球体に血液を送り込むのが輸入細動脈,そして送り出すのが輸出細動脈という訳です.

 ここはもの凄く重要ですから,よく覚えておいて下さい.

 今後,この私のブログで何回も出てくることになりますが,この糸球体で血液が濾(ろ)過され,その濾過液をボーマン嚢が受け取るところから,尿の生成が始まるのです.これは人間も同じことです.

 もし,この糸球体・ボーマン嚢間で血液の濾過が急激に停止してしまったら,どうなるでしょうか?

 おっと,先走りすぎましたね:これは次回以降で説明しますが,でも想像してみて下さい.

 次に,ボーマン嚢に目を移しましょう.

 ボーマン嚢には1本の管が接続していますね.この管はぐにゃぐにゃ曲っていますね.これを尿細管(にょうさいかん)と呼びます.そして,この尿細管には輸出細動脈から出発した血管が巻き付いていますね.そして,何本かの尿細管が合流して集合した管を集合管と呼びます.

 今回は(も)かなり専門的な話しを書いたことは承知しています.一度に沢山書くと消化不良を起こすかも知れませんから,今回はここまでにしましょう.

 次回は人間を含む健康な動物がいかにして尿を作っているかを具体的に説明します.

 余談ですが,「管理人(つまり私)にしか読めないコメント」として,様々な書き込みをして下さって有り難うございました.その中に,「あなたはどんな方なんですか?」みたいな質問が含まれています.

 これに対して,私は明確にお答えしませんでした.が,もし宜しければmixiで「八海山万歳」というニックネームを検索してみて下さい.私が見つかります.私はmixiで平日はほぼ確実に日記を綴っているので,私がどんな人なのかが直ぐに解ります.私は一言で言えば,怠け者で,飲兵衛で,中年のおっさんで,でも動物の腎臓病と心臓病を憎むことにかけては誰にも負けたくない獣医師の一人です.
スポンサーサイト
コメント
この記事へのコメント
私のペットも言われました。
はじめまして。
エルのブログから飛んできました。
私の猫も4年前に心臓病で亡くし、今年始めにもう1匹も(腎臓病といわれ、闘病ーといっても2年間は血液検査で様子を見るだけで、1年前からネフガードが、処方されたのですが)食べなくなったので病院に連れて行ったら、レントゲン開腹手術の後(腸が詰まり、癌といわれましたが、)その日のうちに亡くなってしまいました。12歳と14歳でした。
 腎臓病に関する獣医のポイントの中で、通っていた先生は食事について何もアドヴァイスがなかったなあ、血液検査だけで、尿検査も1回もしなかったなあと思い起こしています。
 猫のいない生活は考えられないので、里親募集で引き取って育てていますが、前の仔たちのように、飼い主として、知識不足の為に、必要な治療が、受けられないことがないようにしたいと思っています。
 動物病院も変えてみたのですが、今度の先生が果たして何が専門なのか、予防注射のときなどに、目を皿のように観察してこようと思っています。
 お忙しい中のブログ応援させてください。
でも内容は、どこまで、ついていけているでしょう・・・?
2008/11/28(金) 20:46:57 | URL | ミラネエ #-[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2009/08/18(火) 11:15:29 | | #[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2010/02/20(土) 15:42:10 | | #[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2010/03/04(木) 16:37:27 | | #[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2011/01/09(日) 10:06:36 | | #[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2011/01/27(木) 22:55:52 | | #[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2011/02/19(土) 22:28:32 | | #[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011/05/19(木) 11:12:31 | | #[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011/06/27(月) 15:01:45 | | #[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2011/08/16(火) 01:40:32 | | #[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011/10/17(月) 11:42:11 | | #[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011/12/04(日) 03:19:21 | | #[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2011/12/30(金) 22:42:40 | | #[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012/05/06(日) 18:09:41 | | #[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2012/07/09(月) 22:11:43 | | #[ 編集]
承認待ちコメント
このコメントは管理者の承認待ちです
2012/11/07(水) 19:17:58 | | #[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2013/01/27(日) 11:32:17 | | #[ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2014/03/13(木) 00:56:34 | | #[ 編集]
コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL
http://nstakemura.blog22.fc2.com/tb.php/6-24fe45ca
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
この記事へのトラックバック
管理人の承認後に表示されます
2012/11/20(火) 06:41:53 |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。